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アメリカの社会保証(生活保護)

アメリカの生活保護(Public Assistance)について日本よりヒドイという人がいる。

確かにそのとおりだ。

だが、この意見は大切な論点を見落としている。

アメリカの医療保障制度は、大きく分けると

メディケア(高齢者または障害者向け公的医療保険制度)

メディケイド(低所得者向け公的医療保険

でなりたっている。

このメディケアもメディケイドも
介護やリハビリなどは短い期間しか補償されないし、Co-payment(特定の補償を受ける場合に毎回払う金額)が高いので受給者負担は高い。

だが、生活保護法については別の見方もある。


アメリカは日本の生活保護法と違い、諸制度との併給が認められている。

以下の諸制度は全て併給可能だ。

・低所得世帯光熱費扶助(LIHEA;Low-Income Home Energy Assistance)
・子ども医療保険制度(SCHIP;State Children’s Health Insurance Program)
フードスタンプ(Food Stamps;食料扶助)
・女性・幼児・子ども向け特別補足栄養プログラム(WIC;Special
Supplemental Nutrition Program for Women, Infants, and Children)
・全米学校給食プログラム(National School Lunch and School Breakfast
programs)
・ジョブコープ(Job Corps;若年者雇用支援制度)
・SCSEP(Senior Community Service Employment program;中高年雇用支
援制度)
・貧困者向け法律サービス(Legal services for the poor)
・TANF(Temporary Assistance for Needy Families;貧困家庭一時扶助)
・SSI(Supplemental Security Income;補足的保障所得)

これだけある。


このうち、日本の生活保護に該当するのはSSIだ。
これは、ミーンズ・テストで貧困だと認められれば、個人で月額564ドル、カップルの場合が846ドル支給される。

確かにこれだけ見ると日本の生活保護の金額の半分程度だろう。

しかし、このSSIは他のサービスの併給が認められているのだ。


少し長いが以下引用


SSI は所得の補足を目的にした制度であり、その給付額がどのようなニーズを充たすためのものかは明示されていない。収入や資産が一定水準以下の高齢者や障害者にとってのラスト・セーフティネットであること、受給者の就労や自立のためのリハビリに対するインセンティブを高め、またそのような機会を増やすことに重点が置かれている制度であり、さらにフードスタンプ(食料扶助;Food Stamps)やメディケイド(医療扶助;Medicaid)、
LIHEA(低所得世帯光熱費扶助;Low-Income Home Energy Assistance)等他の扶助制度との適切な組合せを前提にした制度となっている。SSI では、持ち家の有無による給付額の増減はないが、受給者が他者宅に同居し現物支等を受けている場合やメディケイド施設入居の場合、給付額は減額される。また、低所得者に対する住宅扶助制度は、住宅都市開発省(HUD)が独自に実施している。
http://www.cao.go.jp/bunken-kaikaku/iinkai/kaisai/dai46/46shiryou11.pdf


具体的に以下は、SSIで収入除外の報酬である。
・月額20 ドル(収入の種類に関わらない)
・勤労収入のうち月額65 ドルまでと65 ドル以上の勤労収入についてはその半額
フードスタンプ
所得税還付金
・家庭光熱費扶助
・州政府や地方政府の扶助
・イレギュラーで稀に受け取った少額の収入
非営利機関によって提供された、必要最低限の食料・衣服、住居
・返済義務のある借入れ(現金・現物)
・食料・衣服、住居以外で、第三者が支払ってくれた金額(例:電話代、医療費)
・PASS で免除された収入
・22 歳未満の学生で未婚かつ世帯主でない視覚障害者・障害者の場合、収入のうち
月額1,370 ドルかつ年額5,520 ドル(2004 年の金額、物価調整により毎年更新)
視覚障害者・障害者が就労のために使った障害関連経費


つまりSSIにフードスタンプやメディケイドや光熱費補助があり、さらには、持ち家があってもSSIが支給されるケースがある。

アメリカの社会福祉は日本よりヒドイのではなく、より個人の資質ごとに細分化されているのだ。

社会保障制度全体に対する拠出からみても、アメリカはGDP比16%で、日本は18,7%程度の違いだ。つまり予算的な部分からすれば、実は、アメリカと日本の社会保障制度は、そんなに違わないのだ。
(ちなみに北欧やEUなどのトップグループは軒並みGDP比25%以上だ)


ならば、アメリカはなぜヒドイヒドイといわれるのか?

それは、アメリカの医療福祉政策への軽視である。これまで述べてきたSSIやTANFは、障害者や貧困層の政策である。普通の所得を持った人たちの医療がバカ高いのである。
つまり中間層から大量にオカネをとってるがために、アメリカの福祉はよくヒドイといわれるのである。

データでもアメリカの民間社会支出は世界TOPである。
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/12/dl/1-05.pdf


というわけなので、アメリカと日本の制度を比べるときはSSIの併用システムという基本的な話を抜いて議論はできないだろう。