マイケル・J・モーブッシン 『投資の科学』

株価収益率(PER)の非定常性をモーブッシンは指摘している。つまり、過去の統計的データは母集団が同じ特性を使わないと意味がないと指摘している。特に株価収益率は、世界の産業界において有形資産より無形資産のほうが重要視されるようになった。

結果として、投資の規模ではなく投資の形態が、企業が報告する収益を決定する。同じ投資収益率をもたらすビジネスに同額の資金を投じたとしても、有形固定資産への投資額が大きな企業と無形資産への投資額が同じ企業では、その収益に大きな差がついてしまう。たいていの場合、無形資産への投資額が大きな企業のほうが、キャッシュフロー対純利益比率が高くなる。会計システムが変更されることなく、そのほかの条件も変わらなければ株価収益率は上昇する。理由は、投資を即座に費用計上する企業は、投資を資本化する企業に比べて、キャッシュフロー対純利益比率が高くなるからである。

S&P500採用銘柄の平均存続年数(インプライド・ライフタイム)は1950年代では25~35年だったが、今日では10年~15年までに短くなってきている。市場全体では安定的にはなってきているものの個別企業では不安定になっている。</font>

その理由は、個人株主やミューチュアルファンドへの格付けの機関の評価が90日に一度はいるからである。1950年代ミューチュアルファンドの平均保有期間が15年以上だったが2004年までに4年に縮まった。たとえば2001年にフロリダ州は、エンロンによる損失などが原因で、アライアンス・キャピタルとの契約を解除した。アライアンスは、長期的には良いパフォーマンスを残していたにも関わらずである。

ファンドマネージャーは短期志向を強めている。</font>
 例証として、ポートフォリオの平均回転率は1950年代で20%前後だが、2004年には110%以上である。しかし、ポートフォリオのパフォーマンスは高い回転率ほど悪い。理由は、取引コストとマーケットインパクトコストおよび税金がかかるからである。<font color="#FF0000">モーブッシンの分析では、回転率20%~50%が最高のパフォーマンスになった。バリュー型ファンドは、平均保有期間が1年半~5年となる低い回転率、グロース型ファンド平均保有期間が1年~1年半になる高い回転率が適している。

 正規分布を用いた意思決定の危険性(ランダムウォーク、CAPM,VaR、ブラックショールズ)などは、株価以外の資産価格の正規分布に従わない可能性を無視しており、それは大規模に変動する(ファットテール)。つまり一部の銘柄の高騰や暴落がポートフォリオに与える影響のほうが平均的な勝ち負けがポートフォリオに与える影響のほうが多く、固執すると、LTCM破綻の二の舞になる。

【まとめ】PERは状況次第であり、その前提条件の分析が必要。つまり成長率、インフレ率、税率、投資家のリスクに対する嗜好、資産形成など。そして、潜在的なイベントリスクの重みを知り、個人の動きと集団の動きをわけてかんがえる(行動ファイナンスを正しく利用する)。要は株価が安いか高いかというのは会社の見せ方一つなのだ。。<font color="#800080"></font></font></strong>

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