障害年金の条件(人格障害でもでるはなし)

第1話 「高次脳機能障害」審査請求事件―精神障害用の診断書を、脳神経外科医に作成してもらう
第2話 在野の名もなき社会保険労務士が障害者の年金受給権を守るため!社会保険事務所窓口氏に挑む・ある熱き戦い!!‐その驚くべき結末とは!?―脳卒中などによる肢体の機能障害における診断書の要注意点が、今、明らかになる!
第3話 「人格障害」で障害年金が支給された―社会保険事務所・市役所などの行政窓口や病院でダメだと言われても決して諦めない
第4話 癌の治療による後遺症で、2級の年金が支給された―厚生年金の請求で3級に認定されたら、要注意!審査請求で2級に変更
第5話 審査請求制度は、正しく機能しているか‐審査会の良識に期待する―心疾患による障害と聴覚の障害との併合認定をめぐって


特に第3章が面白い。
強迫性人格障害(熊崎さん、40歳、無職)で、障害年金2級がとれたという話

著者は、社労士でその奮闘記を書いたものだ。

基本的に、国民年金基本法は、昭和34年11月精神薄弱、神経症、精神病質の3つは除外されていた。(この時は初診日から3年だった。現在では1年6ヶ月)

昭和40年からは、この精神薄弱、神経症、精神病質の3つの法律の限定もはずれ、全ての精神障害が対象になった。

昭和41年には、
「前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は、長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」が2級とされ、心疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患などそれまで除かれていたすべての障害が、認定の対象となった」 p.86

昭和61年には、
「障害認定基準」が定められ、その後医学的知見を踏まえて、平成14年3月に一部法改正がなされ、それまで使用されていた「精神病質」という言葉が「人格障害」という言葉に置き換えられているがこれは単に言葉の置き換えだけにとどまる。


問:国民年金基本法において、昭和40年度から原則的には除外対象にはならないはずなのに実質的に除外対象になっている。何故か?

厚生出版社(昭和56年3月25日刊)国民年金障害等級の認定指針(前東京都立梅ヶ丘病院副医院長 斉藤徳次郎の講演記録)

白痴級(1級)
痴愚級(2級)
が適応される。

さらに、精神病質、神経症、精神薄弱は除かれた。すなわち対象にしないということである。精神病質を年金の対象から除外することについては、異議のないところであろう。神経症も、廃疾、症状の固定という点で認定の難しさもあり、年金神経症というようなものまで考えて、のぞいた。つぎに精神薄弱であるが、これはいずれ取り入れるべきものではないかとおもうが、今回は対象からはずされた。というのは、精神薄弱を別途考究する等の案や、重度精神薄弱児手当て法(現在の、特別児童扶養手当)が予定されたりしていたからである。いずれにしても、精神薄弱は適当のときに入れる必要があると思う。p.90

しかし!

国民年金法施行令別表には、「精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの」は、障害等級二級に該当すると書いてあります。前各号と同程度というのは、「日常生活が著しい制限を受けるか、または、日常せ活に著しい制限を加えることを必要とする程度」なのです。法令が支給するといってるのに社会保険庁が原則として認定の対象としないなどというのは、分をわきまえない不遜な態度というべきです(p.91)。

月ヶ瀬がとった方法。

方法その1:「診断書が書けない」と言った医師に直接面談
方法その2:裁定請求書に、国民年金法第30条の4第2項、施行令別表2級15号、2級16号を利用し、日常生活能力等によって、施行別表に定める程度の障害の状態にあるかどうかで認定されるよう申し立てる。
方法その3: 方法1,2を利用してダメだったために、審査請求をする。3級程度と行政が認めたため、それを不当ということを理由にし、2級程度ということにする。

方法その3で使われた診断書の文言
「慢性的抑うつ状態にあり、意欲減退、自閉的生活がつづく。魔族ともまともな会話がない。家族以外とは、ほとんど交流がない。他人との意思伝達及び、対人関係は、自発的にはできない。コミュニケーションがうまくとれず、関わる人のほとんどと、大きなトラブルを起こす。日常生活における身の回りのことも、多くの援助が必要である。労働不能。日常生活は、家族の援助がなければできない」これは、施行令別表2級16号「精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの」に相当する。(p.103)。

—  月ヶ瀬 幹生 2007 『障害年金の請求と審査請求―障害を持つ人すべてに支給されますように―』 文芸社